90年代のアメリカのヒップホップ 西海岸と東海岸の抗争について

 

90年代のアメリカのヒップホップ 西海岸と東海岸の抗争について

 

 

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1990年代のアメリカでは、ヒップホップが大流行していました。

 

西海岸と東海岸にそれぞれ大きなヒップホップレーベルがあり、どちらも多数のトップアーティストを抱えていたのですが、しかし、一つの事件をきっかけとして、大変悲しい事件が起きてしまいました。

 

ここでは、ヒップホップファンなら知っておくべきこちらの事件についてご紹介します。

 

 

 

90年代、アメリカでヒップホップの二大レーベルが台頭

 

ヒップホップは1970年代にアメリカ・ニューヨークのサウス・ブロンクス地区で生まれた音楽で、貧困地区のためディスコに行けない人が多く、代わりに近所の公園でラップを披露し合うことで原型が誕生しました。

 

この文化が徐々にアメリカ全土へと広まっていき、1980年代終わりまでかけて、一つの時代が築かれ、ここまでの時代のヒップホップは「オールド・スクール」と呼ばれています。

 

それに対して「ニュー・スクール」が、1990年代以降のヒップホップになるのですが、1990年代初頭には、西海岸で2パックというアーティストがデビューを飾り、デス・ロウ・レコードというレーベルに所属しました。

 

一方の東海岸では、ノトーリアス・B.I.G.というアーティストが登場し、バッド・ボーイ・エンタテインメントというレーベルに所属しました。

 

この2つのレーベル、そしてこの2人のアーティストが、90年代・アメリカのヒップホップ界の二大巨頭となるのです。

 

 

 

 

2パックとノトーリアス・B.I.G.の間で起きた抗争

 

西海岸(カリフォルニア)を代表する2パックは、90年代初頭より過激な歌詞が話題を集めていて、女性関連で常に問題行動を起こしていましたが、逆にそれがカリスマ性を引き立たせていました。

 

一方東海岸(ニューヨーク)を代表するノトーリアス・B.I.G.は、2パックより少し遅れて1994年9月、アルバム『レディ・トゥ・ダイ』でデビューを飾りました。

 

デビュー前から2パックとは友達で、1993年開催の「バドワイザー・スーパーフェス」というイベントでは共演も行うほどの仲で、またノトーリアス・B.I.G.は先に活躍し始めていた2パックを大変リスペクトしていました。

 

しかしヒップホップはアーティストもファンも裏社会の人間が多く、影では西海岸・東海岸それぞれのアーティストが紡ぐ歌詞を中傷し合うことも多く、暴力沙汰の争いが見えないところで激化していき、そして1994年11月、突然2パックが銃撃される事件が発生したのです。

 

その事件現場にノトーリアス・B.I.G.が居合わせていたという噂が流れたことから、2人の仲は一気に悪化してしまいます。

 

また、ヒップホップファンの間では、この事件はバッド・ボーイ・エンタテインメントの仕業に違いないという話が広がり、大規模な抗争へと発展してしまいます。

 

 

 

 

偉大な2人のアーティストの死

 

二人の仲が悪化したのち、2パックはノトーリアス・B.I.G.や彼の所属するバッド・ボーイ・エンタテインメントを中傷する内容の曲『Hit ‘Em Up』を発表しました。

 

これはファンの間の抗争をさらに煽る形となってしまい、ついに1996年9月7日、事件が起きました。

 

友人であるボクサーの試合を観戦した帰りに、あらかじめキャディラックに取り付けられていた銃弾を4発受け、その6日後治療の甲斐なく死亡してしまいました。

 

そしてあろうことか、1997年3月9日、ノトーリアス・B.I.G.がヒップホップ関連のパーティーの帰りに銃撃を受けてしまい、死亡してしまったのです。

 

それはセカンドアルバムが完成し、リリースする前の出来事でした。

 

どちらも未だに犯人が特定されていませんが、これら2つの事件は、アメリカのヒップホップ界における抗争が引き起こした痛ましい事件として、現在もなおファンの間では語り継がれているのです。

 

 

 

 

アメリカそして世界のヒップホップ史に残る抗争

 

ここまでご紹介したように、90年代のアメリカでは、東海岸と西海岸では全く表現方法が異なるヒップホップが紡ぎ出されていました。

 

残念ながらそれをきっかけとして、悲しい事件が頻発してしまいましたが、皮肉にもこうした事件があったからこそ、今や全世界にヒップホップの熱狂的なファンがいると言っても過言ではありません。

 

今一度、90年代のアメリカを思い浮かべながらヒップホップを聴いてみてはいかがでしょうか。

 

 

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